思い出のフロリダの味
社会人になって5年が過ぎた頃だったと思う。半導体の商社でルートセールスをしていた頃、HARRISというアナログICの老舗メーカーの本社を訪問してすることになった。営業マン数人を選んでの研修旅行という名目のご褒美旅行だった。HARRIS社の本社はアメリカ本土の東側、フロリダのオーランドにあった。うる覚えで正確な記憶では無いことを事前に許してもらって言うと成田発のユナイテッド航空でロサンゼルスへ13時間のフライトだったと思う。トランジットして東海岸のシカゴまで4時間、さらにシカゴで小型機に乗り換えてフロリダのオーランドに降りたった。初めての米国本土への上陸だった。宿泊予定のホテルに当時のHARRIS JAPANのカントリーマネージャーが迎えにきてくれて夕食に連れて行ってくれたのが、OUT BACKだった。広々として店内にゆったりとした作りの木製の大きなテーブルと薄暗い程度の照明は今の香港のOUT BACKと雰囲気は変わっていないと思う。僕はてっきりオーストラリア発祥のレストランだと思っていたのだが後にオーストラリアとオージービーフをテーマにしたアメリカのレストランと知った。
メニューの中で主役を張っている牛肉の塊に内心驚きながらページをめくっていると、同席していたカントリーマネージャーが我々営業マンの好みを聞きながらサラダといくつかの小皿の料理(小皿と言っても大きいのだけれど)ステーキなどを見繕って注文してくれた。ビールを飲みながら20時間以上の長旅の疲れも忘れてアメリカ本土を感じながら談笑しているところへ最初に運ばれてきた料理がこの Bloomin’ Onion だった。カントリーマネージャー曰く、このレストランの名物料理との説明を受けて指で摘んで独特のマヨネーズソース(きっとマヨネーズとケチャップを合わせたソースだと思うのだけれど、確信は無い)に浸して食べてみた。元々野菜嫌いの僕が一瞬で虜になってしまった。もう30年以上前のことだ。
香港に移り住んで15年が過ぎようとしている。今でもたまに OUT BACK に出掛けることがある。必ず注文しては当時を思い出すのだ。少し小ぶりになった気もしないでもないが・・・嗚呼 懐かしのHARRISとBloomin’ Onion。