There is cost only.
昼間の就業時間中に社内に居て事務処理をすることにとても罪悪感を感じる雰囲気だった。女性アシスタントからもそんな視線でみられているような感覚もあった。本当は彼女たち一切そんな風には思ってはいなかったはずなんだろうけど、新入社員の営業マンは朝から晩までお客さんのところに居ろというのが上司や先輩社員からの指導だった。一番嫌だったのがアポとりだ。当時はEmailなんてものはなくて、コミュニケーション手段と言えばもっぱら電話だった。当然、スマホなんてないしお客さんであろうが夫婦間や恋人同士の通信手段はとにかく電話だった。しばらくしてポケベルが短い期間だったけど席巻した時期はあったけど、基本はあくまで電話だった。週末や週の始まりには電話をかけてアポイントを取り付けることに精を出したものだ。何度も何度も電話してやっと会ってくれるという約束を取り付けるのは相当タフで疲れる作業だった。アポがとれないと精神的にもきつい。一度、オフィスを出ると早く面談が終わっても途中、車の中やファミレスで時間つぶしをして会社に戻ったりもしたな。その背景にあったのが上司や先輩からこんこんと言われ続けた「社内にあるのは経費だけ」という教えだった。英語に言い換えれば「No business in the office, there is cost only.」と言ったところかな、そんなことを思いながら社内からメールでアポとりや仕事の進捗を管理している。便利な世の中になったもんだとつくづく思うのだ。