人生最大の思い違い

それが無ければ私の人生は大きく変わっていただろう。

何を大袈裟な!という事なかれだ。何についての思い違いかと言うと「ゴルフスイング」についてだ。首をかしげる方もいると思うが少しご紹介したいと思う。私がゴルフを始めたのは社会人になって2年目の頃だった。一年間の横浜本社での新人期間を過ごした2年目を迎えるのと同時に新設された宇都宮営業所に転勤を命じられた。新しい職場は直属長の営業所所長とアシスタント、それに私というルートセールスをメインにする営業スタイルを維持する最低限の体制だった。売上のほとんどをカバーしているメイン顧客の一社のフォローと顧客の新規開拓が新設営業所の使命だった。所長は一年目の時に配属された部署の先輩社員で入社後一年間の間にずいぶん可愛がってくれたお陰で公私ともに親しくさせて頂いていた。その上司である所長の勧めで始めたのがキッカケだった。3人しかいない組織というのは好都合だった。所長が白と言えばなんでも白になる。本社の横浜からはほどよく目が届かない新設の営業所はある意味天国だった。営業同行の帰り道で国道4号線沿いにあったアルペンスポーツでバッグに入ったフルセットをクレジットカードで買ったのを覚えている。それからというもの所長と一緒に毎週末には近所のゴルフ練習場で練習するの決まりになった。同時にゴルフ雑誌を読み漁ってはグリップやスタンス、前景姿勢などなど猛勉強した。当時はAON全盛で国内ツアーでは尾崎3兄弟に中島常幸、青木功、杉原輝雄(古ッ)など個性派のプレイヤーも多かった(名前を挙げるとこのページでは書ききれない)

大好きだった在りし日の杉原輝雄プロ(享年74歳)


そんな中、私の最大の思い違いはバックスイングに入る「捻転」の方向だ。文字で書くと分かりづらくなるが、私が雑誌などの猛勉強の結果として理解した捻転の方向が間違えていたのだ。それもなんと30年以上に渡ってバックスイングの度にキリキリと間違った方向に体を捻り続けていたのだ。なんと言うことか!とほほ(涙
当時の雑誌の解説には「バックスイングは前傾した上半身、左肩を背骨に対して水平に回転させていく」とう説明だったと記憶している。少し前傾している上半身の背骨に対して回転するわけだから左肩はバックスイングが進むにつれて背骨の前傾角度分、下のほうへ下がるのが正しい。が、ややこしいことに両肩は水平に回転して行くといった補足もよく見受けらた。さらに猛勉強中の私はテレビのトーナメントの中継でも解説者が「今のスイングは左肩が下がってましたね、反動でダウンスイングで右肩が下がってあおるようなスイングになったのがスライスした原因ですね」とかコメントするのを聞くと左肩はやっぱり下がっちゃいけないんだと強く理解した。そして必死に前傾した背骨を軸にして左肩を下げないようにバックスイングの捩じりを入れたとても苦しいトップを作るスイングを必死につくろうとしていたのだ。前述したとおり30年以上に渡って!
2年ほど前、香港のゴルフ練習場で興味本位でレッスンを受けてみることにした。トレーナはPGAのライセンスをもったマークという40前後のイギリス人だった。最初に10球程度打ってみてと言われた。その様子をタブレットで撮ってくれて一緒に見ながら解説したくれた。バックスイングはこっちだよと言いながらマークはタブレットの中で回転する僕の動きを止めて矢印を地面のほうに描きながら示してくれた。「えっ?」始めた指摘されたときはきちんと理解できなかった。マークに言われたいくつかの修正ポイントをしっかりと思い出しながら何度もボールを打った。マークとのレッスンがない個人練習でも言われた修正ポイントをしっかり実現できるように取り組んだ。そして突然閃いたのだった。「えッ!もしかして背骨に対して回転するバックスイングってこっちなん?」左手がトップの位置できちっと伸びて止まっているのが自分で分かる。しかもあれほど苦しかった捻転が気持ちよくさえ感じられた。素直にダウンスイングを始めるとフェースにボールがバシッと当たる音まで心地いい。えぇ~なんだよ。バックスイングってこれなの? 目から鱗が落ちるとう諺をこの時ほど実感したことはなかった。鱗がおちた後のマークとのレッスンで「Good direction」と言われて確信できた。30年以上間違ったことを必死に成し遂げようとしていたんだ。30年前にマークに会っていたら、僕のスコアはとっくに90をきってアベレージで80台の前半だったろう。スコアもよくなればラウンド回数も増えていたに違いない。最低でも月に2回はコースに出ていただろう。ゴルフをいうスポーツはほかのスポーツと少し違っていて野球やサッカーが上手でも褒められたりはするが「尊敬」まではされない。が、ゴルフは違う。ゴルフがうまい人は「尊敬」されるのだ。と私は持っている。そうなると取引先のお偉いさんとの接待にも呼ばれる機会も増えていただろう。チャンスも当然増えていたはずだ。そう考えると・・・私の人生は大きく変わっていたに違いないのだ。ただ今となっては確かめようがないのだが 🙂